ふたりの娘。二匹のメス猫。そして発達障害気味の夫。帆の街での「ごく普通の家族」のごく普通の一日はきょうもボチボチと暮れていきます。

季節を告げるもの

 ニュージーランドに引っ越して間もないころ、日本の何が一番恋しいか、と訊かれて「四季」と答えたことがあります。オークランドの冬は日本ほど寒くなく、夏は日本ほど暑くない。過ごしやすいという言い方もありますが、私に言わせれば「メリハリがない」。さらに言えば「節操がない」。
 寒い寒い冬が終って、梅の花や桃の花が一斉に咲き始めるときの、ドキドキするようなうれしさは、ここに住んでいては決して感じることのないもの。何しろタンポポは一年中咲いているし、シクラメンは真夏でも元気だし、ハイビスカスは冬のさなかに花を咲かせます。あ〜、このちゃらんぽらんさ。ニュージーランドそのもの。
 それでも、新しい季節の訪れを教えてくれるものが、ここにもあるのだなぁと、最近になって気づくようになってきました(オークランドにも四季はあるのです、一応)。

  たとえば、これ。

          


 今くらいの時期から夏の終わりにかけて、街のあちこちにイチゴ屋さんの店が出ます。どこに店を出すかはそれぞれで大体決まっているようで、ここの店は、我が家からオークランド博物館方面へ向かう途中にある運動競技場の駐車スペース。固定客がついているようで、私がいる間にも次々と車が入ってきては「やぁ、元気?」とか「これ、昨日と同じ種類のヤツ?」とか言いながらおじさんからイチゴを買って行きます。


         
         

 私もふたパック買いました。2つで6ドル。旬にまだ間があるので、ちょっとまだ高いかな、という感じ。ちなみに、イチゴのパックは「chip」と呼びます。「Can I have 2 chips of strawberries, please?」で「イチゴふたパックください」。

 


イチゴを買った後、写真を撮ってもいいですか,と訊いたら「もちろん」とポーズまで取ってくれました。
 これから夏が終わる3月頃まで、何度もこのおじさんの店でイチゴを買うことになるのでしょう。普通の八百屋で買うのよりおいしい。なぜかそんな気がしてしまうのですね。