……というタイトルの不思議な小説を読み終わりました。
なんでしょねぇ、これは〜。
朝日新聞のブックマにもレビューを書きましたが
奇妙奇天烈摩訶不思議なお話しでした。
で、とてもおもしろかった。
ネットで調べてみると
(ネットでの調べもの、大好きです)
森見登美彦さんのこの小説は好き嫌いがくっきり別れるみたいです。
そこんところも良く分かります。
嫌いな人は生理的に受け付けないんだろうなぁ、と。
わたしはいわゆる「ファンタジー」ものは趣味ではないので
そういう感じのシーンはかなりすっ飛ばして
というか、意識して頭に入れないように読みとばしました。
そういう失礼な読み方をしても、十分に楽しいお話でした。
この本の一番の魅力とわたしが感じているのは
不思議でステキなコトバがあふれていることでしょうか。
それらを拾いあげていくだけで、嬉しい気分になれるのです。
たとえば、
「君、いったいどれくらい飲むの」
「そこにお酒のある限り」
諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ。
ハッピーエンドだ。誰もが赤面することうけあいだ。
神様も我々も、どいつもこいつも御都合主義者だ。
……といった、よく意味が分からないけど楽しいセリフがあるかと思えば
風景描写にはとてもきれいな表現が並んでいます。
カウンターの向こうに並ぶ酒瓶が豪華なシャンデリアのように輝いて
店内はウィスキーのような琥珀色の光に満ちています。
つい先ほどまであたりに満ちていた蒸し暑さがすうっと薄らいでゆき、
なんだか懐かしいような甘ったるい雨の匂いがたちこめてきました。
街中で白い息を吐きながら街路樹の梢を見上げると、もう本当に満遍なく、京都は寒い冬なのでした。
空を見上げれば、たっぷりと水を含ませたような灰色の雲がにわかに湧き出している。夕立ちを予感させる切なく甘い匂いが立ちこめてくる。
藍色の朝靄に沈む街へ、まるでドミノ倒しのように新しい朝が広がるのを我々は見た。
伊坂幸太郎や宮部みゆきのように
ストーリーの面白さにぐいぐいと惹きつけられて
一気に読んでしまうものも大好きなのですが
今回のこの本のように
日本語の楽しさを感じさせてくれて
幸せな気分にしてくれるものも
大好きだぁ〜