インセプション体験
ロックダウン8日目の昨日は朝からひどい雨と風
何もすることがない、というか、何もしたくない。
ソファでぼんやりしていたら、いつの間にか眠ってしまったらしい。
ふと、電話のベルで目が覚めた。
普段ならベルが2回鳴らないうちにJBがすぐに出るのに
いつまでたってもベルは鳴りやまない。
JBも昼寝しちゃってるのかな?
「は~い、ちょっと待って、わたしが出ようか」
と、長女が階下の部屋から出てくる気配がする。
「わたしが出てもいいよ」
と次女の声もする。
え? 次女?
電話はJBのお母さんから。
ロックダウンだけど、元気にしていると
わたしとJB、娘二人の4人で順番に話して電話を切ったあと
隣にいる次女に
「あなた、いつオークランドに来たの?」
と訊いてみる。
「やだな、お母さん。金曜日に来たんじゃない。ケイティのバースデーに出るために」
「そうだけど、日曜に帰ったよね? わたし、送ってったよね?」
「うん、でも、予定を変えて、飛行機には乗らずに戻って来たでしょ?」
そうだったけ……?
とぼんやりしていると、目の前に電話の受話器がにゅっと差し出され
「ほら、お母さんにもサヨナラ言って」
と長女が受話器に向かって言い
「うん、お母さんも元気でね。また電話するね」と
電話の向こうから次女の声。
「ちょっと待って。今、電話してきたの、あなた?
ベルが鳴ってもなかなか電話に出なかった?」
「うん、ロックダウンなのに、みんな出かけちゃったのかと思ったよ」
「今、あなたがオークランドにいる夢を見てた」
「え? お母さん昼寝してたの?」
「実は、そうです」
と、答えたところで目が覚めた。
外は雨も風も止んで、どんよりとした曇り空
映画『インセプション』みたいな夢だったなぁ。