ふたりの娘。二匹のメス猫。そして発達障害気味の夫。帆の街での「ごく普通の家族」のごく普通の一日はきょうもボチボチと暮れていきます。

ドラゴン・タトゥーの女

 なんと徹夜をしてしまいました。


 日曜日に、友人から今話題の『ミレニアムシリーズ』の第1作『ドラゴン・タトゥーの女』上下巻(もちろん日本語版)を借りてきました。


いや〜、うわさにたがわず面白かったです。


 きのうは夕食後、半分読んだ続きを読もうと上巻を取り上げたのですが……。

 後半俄然面白くなってきて、やめられない。


 12時をまわったところで、こうなったら最後まで読んでしまおうと決心。


 下巻を読み終わったのは午前4時半過ぎ。外ではもうblackbirdが鳴き始めていました。


 小説でもドラマでも、ミステリーは大好きです。
 が、この『ドラゴン・タトゥーの女』、ストーリー展開に関しては、ちょっと不満。


 名門富豪一家のドロドロした人間関係
 本土から孤立した状態の島で起こった不可解な少女失踪事件
 次第に明らかになる連続猟奇殺人事件
 

 あの横溝正史の『金田一耕助リーズ』を思い出させます。
 (『金田一耕助シリーズ』も若いときは夢中になって読みましたっけ)

 
 なので、失踪事件の謎もかなり早い段階で想像がつくし、少女が何に怯えていたのかの謎を探るあたりはドキドキしますが、その結果たどりついた先がアレでは……。


 上にも書いたように、私はミステリは好きですが「異常性格者/異常性愛者による動機なき犯罪」といった類は好きではありません。


 犯行に至るまでの犯罪者あるいは被害者の心理や背景を理論的に説明するのを省いてしまって「健常者にはとうてい理解できない異常者による猟奇殺人でした、チャン、チャン」みたいな終わり方って(その悲惨さにはつい目を奪われてしまうけれど)、手抜きじゃないの〜!? と思ってしまう。


 というわけで、世界中で絶賛されている作品ではありますが、一見「異常者による猟奇的な犯罪」のように見えて、実はその裏に深く悲しい人間の性が隠れている、という展開の『金田耕介シリーズ』のほうがストーリーとしては上ではないかと……。


 それでも、いったん読み出したら止まらないほどおもしろいのは確か。


 ヤバイなぁー、徹夜するとあしたきついんだよなぁ、と思いつつやめられない。


 読者をグイグイ引っ張っていく筆力は、やはりこの作者がすばらしい作家であるということの紛れもない証なのでしょう。


 『ミレニアムシリーズ』が処女作にして遺作、というのは、なんとも残念な話ですよね。


 ちなみに、シリーズ第1作の英語版のタイトルは『The Girl with Gragon Tatoo』で日本語版も英語版の直訳ですが、日本語版の「訳者あとがき」によるとスウェーデン語の原題は「女を憎む男たち」という意味なのだそうです。この作品のテーマが「(男の)女に対する差別、蔑視、暴力」であることは読んでいてもはっきり分かります。


 それを思うと、やっぱりこの作品はすごいかなぁ。単なる娯楽作品ではなく、現代のスウェーデン(いや、スウェーデンだけではないかもしれないけど)が抱える問題の提起もしていると……?



        
      



 ところで、今朝9時頃に寝不足の頭で起きてみると、休みの日にはお昼過ぎまで眠っている長女が起きているではありませんか。


 今日は早いね、何時に起きたの? と言うと



        「あ〜、まだ寝てない」



 いやはや、母子そろって徹夜とは。