ふたりの娘。二匹のメス猫。そして発達障害気味の夫。帆の街での「ごく普通の家族」のごく普通の一日はきょうもボチボチと暮れていきます。

1ドルでシェイクスピア その2

わたしは大学でシェイクスピアを勉強したのですが

真面目な学生ではまったくなかったので

きちんと読んだのは『リア王』と『ロミオとジュリエット』ぐらいで

歴史ものはきっちりスルー、ひとつも読んでいません。

 

 

なので、『ヘンリー5世』を見に行くにあたっては、

セリフも恐らく現代語訳されていないだろうし

あらすじぐらいは知っておかないと、ちんぷんかんぷんになってしまう

と、あわててネットで付け焼刃の勉強をしました。

 

 

ゼミの担当教授が大好きだったフォルスタッフが登場するんだっけ?

などと思っていましたが、フォルスタッフが活躍するのは『ヘンリー4世』

『ヘンリー4世』でこの愛すべき小悪党と放蕩の限りを尽くしたハル王子は

王位を継いでヘンリー5世となり、

シェイクスピア劇『ヘンリー5世』では見事な名君ぶりを発揮します。

 

 

はい、かっこいい王さまでした。

惚れてしまいそうなほど。

 

 

さて、

開演5分前に劇場に入ると

ステージにはまだお掃除のお兄ちゃんがいて、作業の真っ最中。

 

 

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こういうユルさ、ニュージーランドだよね~と思っていましたが

お兄ちゃんのお掃除はいつまでたっても終わる様子がなく

チリンチリンと開演の鐘が鳴ってもまだステージの上

 

 

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え? え? そこまでユルい?

 

 

とびっくりしていると、ステージ上にドドド~っと役者たちがなだれ込み……

 

 

お兄ちゃんも役者のひとりだったのでした。

 

 

この役者さんはコロス(説明役)で、

お掃除用具一式が入ったカートを引きながら

観客に状況の説明をし、要所要所でタイミングよく役者たちに小道具を手渡し。

なかなか面白い演出だと思いました。

 

 

16世紀にシェイクスピアが建てたグローブ座は

上演中の火事で焼失してしまい、その後すぐに建て直された第2グローブ座は

最初のグローブ座と大きさや形が少し違うのだとか。

 

 

現在ロンドンにあるグローブ座は最初のグローブ座を復元したもので

オークランドのPop-up Globeは2番目のグローブ座の復元なのだそうです。

 

 

最初に劇場内に入って感じたのは「わっ、小さい!」でした。

縮小版なのかと思ったのですが、

かつてロンドンにあった第2グローブ座と同じ大きさなのだとか。

でも、小さい分、役者と観客との距離がすごく近い。

特に立見席は、登場人物が下りてきて芝居したりするので

舞台の一部と言っていいくらいの親密感

 

 

わたしもヘンリー5世(役の俳優)に芝居中に握手してもらいましたよ。

 

 

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フラッシュをたかなければ芝居中も写真を撮っていいと言われたのですが

芝居が始まると引き込まれてしまって、写真のことは忘れてしまいました。

 

 

あ~、楽しかった。

立ち見もそれほど疲れなかったし、何しろ$1だし

今度は『お気に召すまま』を見に行きたいなぁ。

 

 

劇場の屋根にはためいていた2本の旗は

1本は芝居の内容を示し、赤は「歴史もの」、白は「喜劇」、黒は「悲劇」

もう1本は出演する劇団を示すものだそうで

 

 

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今回の『ヘンリー5世』を演じたのは

Pop-up Globe King’s Companyという男優だけの劇団でした。

 

 

『お気に召すまま』はPop-up Globe Queen’ s Companyの上演で

こちらには女優さんがいます。

 

 

『お気に召すまま』を見に行けたら

旗が何色になっているか(たぶん、2本とも白)

ちゃんと見ておこうっと。